UEFAネーションズリーグ準決勝 イタリア対スペイン(2021.10.6)

UEFAネーションズリーグ準決勝 イタリア対スペイン(2021.10.6)

先日のW杯予選のリトアニア戦で37戦無敗という世界新記録を更新したイタリア代表。この日は宿敵スペインとの準決勝であったが、残念ながら1−2の敗戦となってしまい、記録は37でストップしてしまった。

 サンシーロで行われた準決勝。ついに負けがついてしまったが、やはりスペイン戦。これまでも重要な大会では常に立ちはだかってきた強敵だが、今回はEURO 2020のリベンジを果たされた形になってしまった。
個人的には、負けはしたもののあまり悪い印象はなかった。前半のうちにボヌッチの不運な退場もあり、逆に10人になってからの後半に1点を返し11人のスペインに対してあそこまで戦えたのは好材料だと感じた。マンチーニの采配の妙に尽きると思うが、ベルナルデスキを後半から下げ、キエッリーニを投入。システムを5−3−1に変更して守備を安定させ、一瞬のカウンターにかける感じはある意味イタリアの追い込まれた時の真髄を見た気がした。課題としては10人になってから、バタバタしている間にもう1失点してしまったことだろう。

前半戦

11人対11人の前半戦はとてもクオリティの高い、おもしろい試合展開だった。イタリアは持ち前のハイプレスからショートカウンターで決定機を作り、スペインはバルサの新星ガビも堂々のプレーをしていたし、オヤルサバルのクロスからフェラン・トーレスが合わせたのは流石のクオリティだった。

イタリア代表は怪我のインモービレに変わりCFにベルナルデスキが入り、CBはボヌッチとバストーニのコンビ。そのほかはEUROと変わらない顔ぶれでスタート。スペイン相手になるとポゼッションではやはり相手に分がある感じはあるが、前線で引っ掛けてからのショートカウンターはうまくはまっていた。ヴェッラッティがいつもに比べるとボールが持てず、なかなかリズムを作るのには苦労していた印象がある。ジョルジーニョもスペインのプレスをかわしきれず、もう一山越えれば絶好機というシーンがいくつもあった。ある意味、紙一重のところで中盤の攻防がなされてた感じだ。レベルの高さを感じた。

ボヌッチが主審への抗議でイエローをもらうと、前半42分に競り合い時に肘が出たというジャッジで2枚目をもらい退場。前半のうちに10人で戦うことに。さほど悪質なファウルではなかったが、1枚目が余計だった。10人になったイタリアはディ・ロレンツォをCBにし、ベルナルデスキをDFラインまで下げて対応するが、落ち着かない間にもう1失点してしまう。ここを乗り切っていればもう少し後半は戦いやすかったとは思うが、そこだけは残念なところだ。

後半戦

後半スタートはベルナルデスキに変わってキエッリーニがCBに入り、キエーザが右WBにシフト。5−3−1で守備に安定感をもたしカウンターを狙う。人数が減っても前線からプレスに行くときは全体が連動してプレスをかけにいくところは感心した。5枚のDFの3枚のCB(キエッリーニ、ディ・ロレンツォ、バストーニ)はハーフスペースで受けようとする選手を縦スライドで捕まえにいき、潰しにかかる。流石に中盤3枚は広大なスペースをカバーするのに疲労感もかなりあったと思うが、ロカテッリとペッレグリーニを中盤に投入。フレッシュな選手の交代でそこは乗り切った。
イタリアは10人でも戦い方を確立しているような印象で、1人減っても勇敢に戦っていたと思う。後半途中からはその他にキーン、カラブリアが途中交代で入ってきたが、キーンはもう少しあの流れの中では、守備を頑張ってほしかったなと思う。

スペインでは途中交代で入ってきたピノが右サイドで印象を残した。緩急のある独特のドリブルで幾度となく右サイドを切り崩した。決定機も2、3あったが、そこはなんとかドンナルンマのファインセーブで凌ぐ。代表戦にも関わらず、サンシーロでのブーイングは少し気の毒だったが、さすがドンナルンマといったところだ。

終盤にはキエーザのプレスからボールを自ら奪い、そのままパウトーレスと入れ変わり、エリアまで独走。最後は並走していたペッレグリーニにパスを出しゴール。EUROでは怪我で召集外になってしまったので、これからが楽しみだ。

試合はこのまま終了し結果は1−2の敗戦。

W杯予選に向けて

10人ながら、一矢報いることができたのはW杯に向けても良いシミュレーションができたのではないかと思う。キエーザの存在感も1年前に比べると、大きく異なるし、彼の爆発的なスピードと1枚2枚必ず剥がせる能力・インテンシティの高さは、イタリア代表の攻撃の軸になっている。DF面でもう少しプレスバック時のマークの受け渡しが改善がされれば、言うことなしだ。

中盤と両WGは人材豊富なので、課題としてはやはりCF不在時の戦い方と、CBコンビのバックアッパーだろう。アチェルビもバストーニもとてもいい選手だが、キエッリーニの変わりというレベルには未だ至っていない感じがする。そこの世代交代もうまく進むことを期待する。